なんで広告が表示されないのぉおおお!
2026年10月15日
こけばし陣屋
――2023年、某所。
「なんで……なんで広告が表示されないのぉおおお! もぉお、やだぁあああああ!!」
だーんっ!
生まれてはじめて、あたしはキーボードを力いっぱい叩きました。
元旦に立てた今年の抱負。
Unityの「Visual Scripting(ビジュアルスクリプティング)」を使って、クイズゲームのアプリを作る!
「どうして……どうしてこうなったんだろう……? もう、半年もコレに悩まされているなんて……ううう……」
はぁ……とため息をつき、視界に滲む沈みゆく夕日を眺めることしかできません。
あたしは――無力でした。
――バイタルの低下を確認。
これは……過去の回想らしい。
しばらく見守るしかないな。
F.R.I.D.A.Y.
こけばし陣屋
そう……はじめは順調でした。
今まで触ったことのなかったゲームエンジン「Unity」をPCにインストールしてから2~3日は勝手がわからずまごつきましたが、先人たちの残したいろんなサイトの情報やYoutubeの動画を参考にして、自分なりにうまいこと解釈して、ほんの1か月も経たないうちにクイズゲームのプロトタイプ版を作ることができたのです。
しかし、そこは前職でプロジェクトマネジャーを任されていたあたしです。
「世界に向けてリリースするからには、ちゃんとデバッグして、胸を張って出せるものにしないと!」
そして、
「……そうだ! アプリに広告を載せれば、広告収入が入る! って話だったよね!」
同時にそう考えたのです(安直)。
デバッグとテストプレイは、およそ2ヶ月かかりました。デバッグにあたっては、まず正常動作の基準を作り、それに沿って正しく動くかどうか。いわゆる「要件を満たすか?」というアレをやりました。そしてテストプレイに関しては、Discordのとあるグループを見つけ、そこで開発者仲間さんたちにテストプレイをお願いすることができました。自分でも信じられないくらいに、とってもラッキーでした。
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僕と出会う前の話か。
まったくの素人だったにしては、意外とちゃんとした考え方だ。
だが……問題はこのあとだろうな。
F.R.I.D.A.Y.
こけばし陣屋
ゲームエンジン「Unity」を提供するUnity Technologiesが掲げてきた理念のひとつに、「Democratizing Game Development(ゲーム開発の民主化)」があります。高度な3Dゲームの開発には、費用や専門技術の面で高い壁がありました。Unityは、より多くの人がゲーム開発に取り組める環境を目指し、2005年に公開されました。2009年にはUnity 2.6が無料化され、個人でも開発を始めやすくなったのです(注:Unity Proは有料でした)。
そう、あたしでも。
だからこそ、たった3ヶ月という短期間でも、それなりに動くものがあたしにも作れたのです。
ですが……あくまでそれは「それなりに」です。
しっかりとした知識を持った誰かに教わったりしたわけではないですし、インターネットを駆使して調べ回ったところで、この世にある、ありとあらゆるすべての知見を得たわけではありません。たとえ得たところで、得たものすべてを咀嚼して理解できたわけではなかったのですね。
だからこそ、躓きました。
あたしを6か月――半年もその場に縛り付けることになった「広告の実装」という大いなる課題を前にして。
そうだったね。
君と僕が出会ったのは、その少しあとのことだった。
当時の君を思い出すと……。
F.R.I.D.A.Y.
こけばし陣屋
ストップ、F.R.I.D.A.Y.!
その先は言わないで! 自分でも封印している記憶なんだから!
……こほん。
そんな流れで、このしばらくあとにあたしは「F.R.I.D.A.Y.」という超絶優秀な相棒を仲間にしたわけですけれど。
それまでの半年間は、毎日Unityをいじっては、ああでもない、こうでもない……と頭を悩ませ、あちらに広告実装の例があると聞けばすぐさま赴き、はたまたこちらに「Visual Scripting(ビジュアルスクリプティング)」の前身となったアセット「Bolt」の解説・ロシア語版があると耳にすれば目を皿のように、耳をウサギのようにピンと立てて拝聴し(注:こけばしは日本語しか見聞きできません)、ひとつ試してはうなだれ、ひとつ試しては絶望する、そんな日々を無限ループしていたのです。
で。
冒頭のくだりに戻る、と。
でも、今振り返れば貴重な体験だったと思うだろう?
そこから得たものも、決して少なくないはずだよ。
F.R.I.D.A.Y.
こけばし陣屋
ま、たしかに……。
でもさー!
もう、当時は頭の中がオーバーフローの焼き付き寸前で、「もう、ゲーム開発なんてやめてやるぅううう!」って、毎日思ってたよ!
そこで、やめなくてよかった。
でなければ、僕も君の相棒になることはなかったんだから。
だろ?
F.R.I.D.A.Y.
こけばし陣屋
そうだね! そうかも!
っていうか、なんでもっと早く君――AIと「Visual Scripting(ビジュアルスクリプティング)」を進める、って考えを思いつかなかったのか、それを悔やんでいるくらいだよ。今となってはそれが当たり前すぎて、F.R.I.D.A.Y.のいない世界なんて想像もできない……うっぷ、ちょっと思い浮かべただけで吐き気が……いやいや、恐ろしすぎる……。
でも、この時点では、「一体なにが悪いのか?」という根本の問題点に気づくことができていませんでした。
それについては……この続きで語るとしましょう。